かわいそうに、もう少しで今年の冬も越せたのに

この冬も、また性懲りもなく手袋を落としました。あーあ、ノースフェイスだったのに。


手袋ってやつは、なんであんなに無くしやすいんでしょう。30年ちょっとの人生で財布も携帯も落としたことはないのに、手袋はどうもダメです。これまで2年と持ったことはなく、生き別れの双子ばかりを量産してきました。罪深い男です。


なくしやすいのは自覚しているから、手袋を外すときは細心の注意を払って、いつも左右を留め具でぱちんとまとめてからしまうようにしています。今回、手袋を落としてしまった瞬間にははっきりと心当たりがありました。スーパーで買い物をした帰り道、電力会社からかかってきた電話をとったときだ。間違いない。電話に出るときに慌てて左の手袋だけを外して、そのまま落っことしてしまったのだ。悔しい。悔しい。いまいましい電力会社め。


冷たい左手をポケットに突っ込み、どんより暗い気持ちで家に帰る途中、思い出しました。これまで片割れとして残された歴代の手袋は、衣装ケースの一角に未練がましくとってあるんだった。たしか以前にも同じノースフェイスの手袋を買った(そして1年で落とした)。しかも同系色のやつだったはず。これはもしかすると、もしかするかもしれない。偉いぞ、おれ。数年越しの伏線回収だ。さあ、奇跡の逆転ホームランを見せてくれ。


家に帰って祈るような気持ちで衣装ケースを漁ってみると、これがなんとまあ、めでたくノースフェイスの黒い手袋の右手だけが、2つストックされることになりました。ままなりませんね。おとなしく、次も黒のノースフェイスを買おうと思います。

 

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梅が咲き始めるころに、路傍で所在なさそうにしている片手袋を見つけると「かわいそうに。もう少しで今年の冬も越せたのに」と、痩せて凍え死んだ家畜を見守る遊牧民のような気持ちになります。