砂漠のオープンカフェは涼しい

中央アジアはお茶の国。とても居心地の良いオープンカフェの記事を書きました。

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記事の構成上、盛り込めなかった余話があるのでここにあとがきとして。

 

 

緑茶か紅茶か

老若男女がしょっちゅうお茶を飲みながら暮らすこの国で、お茶のスタンダードはホットの緑茶。地域差があって北部はおもに紅茶、中央部から南部にかけては緑茶が好まれるらしいけど、おれが旅行してきた地域は圧倒的に緑茶優勢だった。

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あまり緑茶になじみのない国でたまに見られるような、砂糖入りとかでもなく、拍子抜けるくらい普通の緑茶。それがとにかくほっとする。日本で飲むものより、色は黄味がかっていて味もすこしワイルドな感じ。

あとなぜか、やたらと茶柱が立つ。ただしここも日本とは違って、どちらかというと縁起がいいことではないようなことを地元の人に言われた。吉凶は逆でも、湯呑みに茶の茎が立った立たないに注目する共通点はおもしろいなあ。

 

 

みんなが同じ湯呑みを持っている

記事中でも頻出するけどこの特徴的な模様の茶器がとてもかわいい。

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白い陶器に深い青色で描かれた綿花柄。ふちどりには安っぽくて屈託のない金色。どこの家庭にもこの柄のポットや湯呑みがあり、そのあたりにお茶飲み文化の力強さを感じる。日本でみんなが同じお茶碗で白ごはんたべてるなんてこと、ないもんね。

 

伝統の綿花柄もいいけど、びたびたにゴージャスなこのあたりの茶器もかわいい。

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こんなにかわいいポットが、ひとつ4ドルか5ドルくらい。重たいけど、いいお土産になる。

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カテキンで客をもてなす文化

外からやってきた人間に対するもてなしの気持ちがとても篤いこの地の人々。どこにいってもお茶を勧められる。ホテルや人の家ではもちろん、市場でお店で買い物をしていてもすこし話が込み合うとお茶が出てくる。10分以上会話をするときはお茶がないと失礼、というルールでもあるのだろうか。

 

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これは友だちの家で受けたおおごちそうのおもてなし

 

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ガラス職人のおじさんに写真を撮らせてもらっていたら、親方みたいな人がシームレスにお茶を持ってきてくれた

 

旅行中は本当にあちこちでお茶のもてなしがあるので、毎日カテキンの加護を受けることができる。あなたの上に平安とカテキンあれ、だ。

東海林さだおにいざなう罠と、16時間絶食男

デイリーポータルZで記事を書きました。

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そういえば東海林さだおさんとの出会いは、割とはっきりおぼえていて、ロシア語通訳者 米原万里さんのエッセイの中に出てきたのだった。

 

「モスクワへ向かう機中で読んでいたのだが 、わたしがあまりにもしばしば座席でのたうち回って笑い転げるものだから 、隣席のロシア人のおっさんの好奇心がどんどん膨張していくらしくて 、少しずつこちらに身を乗り出してくるのがわかる 。」

—『旅行者の朝食 (文春文庫)』米原 万里著

 

この一文を読んだおれもやはり、ロシア人のおっさん同様に好奇心がどんどん膨張し、すぐさま『トンカツの丸かじり』を購入した。電子書籍なので購入日も記録されている。2017年1月30日。これがおれと東海林さだおさんとのファーストコンタクト。さだお記念日。なお翌31日にはすぐさま『キャベツの丸かじり』に手を出している。

 

ここからは坂道を転げ落ちるようにハマってゆき、3年後には40冊の丸かじりが本棚からはみ出し枕元に積み上げられているのだった。しかも最近は丸かじり以外のさだお本にも手を出し始めている。ドラッグ撲滅のポスターではないが、まさに「軽い気持ちで手を出したせいで…」というやつであった。おれは米原万里さんの仕掛けた罠に見事にかかったのだ。

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今回の記事に寄せられたありがたいコメントを読んでいると、こうした「東海林さだおにいざなう罠」はいたるところに張り巡らされているのだなと実感した。ある人は小学校の図書室で勧められ、ある人は親の本棚から拝借して。おれのように著名人がファンを公言していたからというのもあるし、有名ブロガーやライターが推薦していたという声もあった。

 

そしておれもまた、このたびネットの海に新たな罠を一つ仕掛けたということになる。作品を楽しむだけでなく、人に語らないと気が済まないのが東海林さだお作品の魅力。おれが仕掛けたこの罠に誰かがはまって、さらに新しい罠を再生産してもらえればこれほど嬉しいことはない。

 

 

 

 

 

突如話はかわって、うなぎである。

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何かというと、本編記事の冒頭で引用した「ドックあがりのトンカツ」。1500編の丸かじり作品のなかでマイベストがこのお話なのだけど、つい昨日、奇しくも東海林さだおさんと同じ、16時間絶食明けの昼下がりを経験する事態にいたった。

 

あと1時間でメシが食えるぞ、そういうタイミングで頭の中にぐるぐる食べ物が駆け巡り、運命的にぴたりと止まったメニュー。おれの場合、それがうなぎであった。

 

食事の30分前。うなぎと決めた以上、もう一つの悩みどころは等級である。グレードである。松竹梅である。低血糖の頭でうなぎ屋についてから考えるのでは、気が急いて適正な判断ができない。あらかじめ決断しておいて、席につくなり注文するのがスマートだと考えた。

 

久しぶりのうなぎだからな。松か竹か。胃の方面からは、最近は小食気味だし竹くらいでどうかと伺いを立ててくるが、脳みそは16時間の絶食をタテにして最上位の注文を猛プッシュしてくる。

 

目当ての店に歩きながら考える。OK、ではこうしよう。等級ありきではなく、予算制だ。松が3000円を超えるようなら竹でいく。シンプルにして明快、最適な決定方法だ。鼻息荒く店の引き戸をがらがらと開ける。

 

果たして、店のメニューはこのようなものであった。

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2850円…!「菊」に決定の瞬間だった。予算スレスレ、しかも特上の一言がわざわざ添えられている。「梅」との価格差750円にぐっと期待がかかる。一般的な松竹梅とは違い、菊が最上位というのは予想外だった。

 

しかし注文は決まったのに、おじいさんの店主はなかなかやってこない。ワンオペなのだ。お年寄りのワンオペに無理をいってはいけない。おじいさんは焼き場で先客のうなぎにかかり切りだ。その背中をみて、焦りが募る。胸にそわそわが去来する。もやもやが去来する。もうやめてくれ。胸中は黒い磁気テープを滅茶苦茶に引っ張り出したみたいに、ぐじゃぐじゃになる。

 

ふと、ぐじゃぐじゃの奥のほうから、何か穏やかに訴えかけるような声が聞こえたような気がした。ゆったりとした足取りで漸くやってきたおじいさんに告げる。「うなぎの梅と…あとビールをください」。

 

おじいさんはこちらをちらりとみて言う。

「大と小があるけど」

「大でお願いします」

 

予算3000円で最高のランチが決まった瞬間であった。あのぐじゃぐじゃの向こう側から「ビールはいいのかい?」という天啓を送ってくれたのは東海林さだおさんだっただろうか。

 

 

 

トンカツの丸かじり

トンカツの丸かじり

 

 

ビールは量り売りの時代へ

ステイホーム。酒場が空いていないのなら、うまいビールは家に持って帰って飲みましょう。そういう記事を書きました。

 

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チョップド担々麺

ローソンの汁なし坦々麺、248円。冷凍食品。レンジで5分できちんとうまい。

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坦々麺も汁なし坦々麺もふだん食べつけないので、これが「店」と比べてどの程度うまいのか、形容し説明するようなコメントはできない。ついでに冷凍食品も食べつけないので、「最近の冷凍食品の進化は…!」みたいなコメントもできない。ただ、会社の近くの中華料理屋で700円ですって言われたら、しばらく月に2回くらい食べてもいいかなというような。そんな評価をおれとしては抱いている。

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話はこれで以上なのだが、それではあんまりなので、もう少しだけ。たしかにこの汁なし坦々麺、うまいのだが欠点があるとすれば二つ。まず、おれにはやや味が濃い。それに、野菜がほとんど入っていない(ひき肉はたくさん入っている)。

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この2点の問題は相殺解決が可能だ。鍵は、チンする5分間にある。この時間を利用して適当に切り刻んだ野菜を加え、チョップド汁なし坦々麺にするのだ。

 

何せ時間は5分だ。処理はさっさと済ませなければならないよ。

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アボカド。

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チョップド。

 

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長ネギ。

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チョップド。

 

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しば漬け。

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チョップド。

 

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ししとう

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フライド。

 

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トマト。

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ダイスド。

 

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かいわれ。

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チョップド。

 

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 水菜。

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チョップド。

 

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長ネギ。(二度目)

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ミンスド。

 

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オクラ。

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ボイルド。

 

もちろん上記のすべてを準備する必要はない。これらはあくまで一例なので、各自で好きな野菜を好きな種類だけ選んでもらえれば結構。冷蔵庫の残り野菜でも、その日安かった野菜でも自由な気持ちでチョップしてほしい。あるいはスライスドでもフライドでもミンスドでもボイルドでも、いかようにでもしていただきたい。

 

とにかく大事なのは、麺が温まったことを告げるチンだかピーだかが鳴ったそのときには、野菜が準備されていることだ。地獄ほど熱い麺の内袋を破り、どんぶりに空ける。げしげしと混ぜる。しかるのち野菜を盛り付ける(最後の二つの工程は前後可能)。

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おすすめは、ししとうとしば漬けです。 

QRコード、完全体アボカド、解凍モード

タイトルが韻を踏んでいるのは、たまたまです。

 

 

ぐにゃりとして締まりのないゴールデンウィークの一番の思い出は、デイリーポータルZでバカバカしくて短い記事を書いていたこと。

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記事を書いたのはおれだけではなく、実に37人ものライターがこぞってバカバカしい記事を書いている。記事総数はなんと100本。新時代の祭りという感じがする。ええじゃないか。ええじゃないか。

文字通り百花繚乱。むしろ百花錯乱か。どうぞ、去り行くゴールデンウィークをしのびながらお楽しみください。

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ベ活、やってますか

いま停滞しているのは、何も経済活動に限った話ではない。婚活も就活も妊活も、活動と名の付くものはほぼ全て停滞していると聞く。このような時代を生きる我々が、いま勤しむべきことは何か。それはベランダ活動。つまり、べ活(べかつ)である。

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・・・

 

 

 

ベランダ開発計画、苦闘の歴史

いまのマンションに越してきて6年が経つ。立地至便。築年数も悪くない。実際のところ、かなり気に入っているのだが、さらなるチャームポイントが四畳半近くあるベランダ。天井も高く、三次元的にかなりの大空間だ。

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引っ越しのときの決め手にもなった

さぞ立派で高級なお部屋に住んでいるのね、と思われるかもしれないが、安心してほしい。居室のサイズがベランダとほぼ同じというオチがつく。家賃はむしろ地域の相場以下だ。

 

しかし。正直に白状するのが悔しくてたまらないのだが、実はこの立派なベランダ。これまでほとんど利用することなく、持て余してきてしまったのだ。

 

もちろんベランダの開発計画そのものは、引っ越し当初から何度も持ち上がっていた。ここにアウトドア用のテーブルと椅子を置き、晩酌でもすれば素敵ではないか。あるいはもっと大胆にウッドデッキを敷き詰めるのもよかろう。季節の花が咲き乱れるベランダガーデンなんかも素敵だ。

 

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エクセルで見取り図までつくったウッドデッキ計画

 

ただおれは、こうした数多の素敵ベランダ計画を立案しておきながら、いつも実行に移すギリギリのところで自ら計画を白紙に戻してきたのだ。

 

数年前には、ベランダの地域住民に対し何度も説明会を繰り返し、合意をとりつけ、さあ予算執行というところまでいったこともある。

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顔役の室外機さんも最後は「それが未来のためなら…」と言ってくれたのに

しかしそんなとき。足を引っ張るのは、心の内に住む、開発反対派のおれだ。ヤツはささやく。「だって、ベランダを清潔に維持するのってものすごく手間がかかるんですよね。しかもうちの目の前はかなり大きな幹線道路。毎日、ひどい汚れ方じゃないか。そういえば不動産屋さんも契約時に、あまり洗濯物は干さないほうがいいと助言してくれたでしょ」。そうだった。それもあって家賃が安いんだった。

 

開発によって一時的にベランダが潤ったとしても、それを維持し続けるという重荷を背負うのはいつも将来世代なのだ。わかる。痛いほどわかる。正論だ。こうして、冷静かつ賢明かつズボラなおれは、幾度となく持ち上がってきたベランダ計画をいつも土壇場で覆してきてしまっていたのだ。

 

それでもさまざまな案が検討された数年前まではまだよかった。ここ最近は新しい計画が持ち上がる機運すらない。それどころか。ひょっとするとおれは、この1年ほどベランダに降り立ってすらいないのではないか。何度も計画を反故にしてきた後ろめたさが、おれの目をベランダから背けさせているのだ。このままいけば、いつかカーテンを開けることさえためらわれるようになってしまうかもしれない。

 

明るい未来という期待感を一身に背負った広大なベランダは、今はただ黒いホコリとチリをたっぷりと積らせ、打ち棄てられた廃墟然としてたたずんでいる。しかも都合の悪いことにおれの居住空間と、目と鼻の先で。

 

 

春の陽気を奪われた我々は

ところがここにきて。急激に風向きが変わってきた。そう、例の外出自粛である。

 

おれはもともと、外でご飯を食べたりお酒を飲んだりするピクニック的行為が大好き。特に今は、春のピクニックシーズンのど真ん中(ちなみに春・秋の2シーズン制である)。冬のあいだ、どれほどこの春の陽気を待ちわびてきたことか。それなのに、その大事な春シーズンがまるごとフイにされようとしている。 プロ野球やJリーグと同様とは言わない。ただピクニックがワンシーズンなくなるというのは、精神衛生上の大問題なのだ。

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これは去年の春シーズンの様子

そこでにわかに脚光を集めはじめたのが、例のベランダ。ここなら誰にも文句を言われることなく、思う存分ピクニックができる。起き抜けにテーブルを引っ張り出して、コーヒーと食パンを出せばもうそれはピクニック。風呂上り、濡れた髪のまま缶ビールを持って春の風にあたれば、これも立派なピクニック。そうだ、こんな身近なところに素敵なピクニックスペースが広がっていたのに、なぜ気付かなかったのか。

 

ベランダでできることは、何もピクニックだけではない。ここで日向ぼっこをしながら読書をしてもいいし、季節の花々を育ててもいい。スペースがあれば軽い運動をしてもいいだろう。ベランダは、庭を持たない都市住民に与えられた、唯一の合法的かつプライベートな外空間。確実に三密を避けながら、外の空気を楽しむ。これこそ現代日本人が今、こぞって精を出すべき活動なのではないか。

 

何度も浮かんでは立ち消えしてきたベランダ開発計画。今度こそついに始動するのではと、地域住民も色めきだっている。おれはやるぞ。やってみせるぞ、今年はベランダを有効に活用してみせる。さあ、べ活の始まりだ。

 

 

 

 次回、「ベ活、やっていますか ~怒涛の大掃除篇~」をお送りします。お楽しみに(無事に掃除が終わればです)。

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フライト中のつもりでテレワークする

最近、在宅勤務やっていますか。おれはやっている。このご時世、自宅で安全に仕事をさせてもらえて、まことにありがたいことである。

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最近、飛行機乗っていますか。おれは乗っていない。みんな乗っていないだろうな。こういうご時世だから。

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ということで。このご時世に、そんな感じの記事をデイリーポータルZで書いたので、よろしければご覧ください。 

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